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院長の山本 忠浩のコラムを掲載しております。
不定期で更新しておりますので、もしよろしければご覧ください。

院長コラム2018年11月

久しぶりの投稿になります。 もう半年ほど前になりますが、所属する日本顎関節学会の学術講演会「顎関節症インタラクティブコース」が岡山大学で行われ、受講して来ました。 1986年に大学を卒業して最初に専攻したのが口腔外科だったので当時から顎関節症の勉強をしていて、まだ学会が出来る前の日本顎関節研究会の頃から学術大会には参加していました。学会になってからすぐに会員になったので、もう30年くらいになります。 岡山に帰ってきてからはなかなか学術大会には時間的に出席できなかったのですが、今回は最新の顎関節症の診査・診断法や症例分析、標準的な治療法を学ぶことができる講習会方式で、日曜日しかも地元岡山で行われたのですぐに出席を申込みました。 顎関節症に対する考え方は時代とともに変化しており、新人時代に勉強したものとは大きく変わった部分もあって改めて大変な勉強になりました。 当院でもスプリント(マウスピースのような装置)を使用した保存的な治療を行っております。口が開きづらい、顎を動かすと痛みがある、といった症状のある方は一度ご相談ください。

2015年3月号 家族の絆プロジェクト

現在、岡山県歯科医師会では「家族の絆プロジェクト」という活動を行っています。
これは皆さんのお口の中の状態をデータとして保存し、万一の自体が起こった際に役立てようというものです。

2011年の東日本大震災では身元確認に歯の治療痕が用いられ、この作業には岡山県からも多くの歯科医師や歯科医療関係者が参加されました。ところがこの災害では、地元の歯科医院も多くが被災した為に保存してあったカルテが紛失してしまい、確認作業が大変難航したそうです。そこで、このプロジェクトで得られたデータを岡山県歯科医師会で一括保存すればデータ自体を保護でき、よって迅速な確認作業が行えるようになると考えられる事からこのプロジェクトが始まりました。

以前から身元確認作業に歯科治療痕を利用する方法は行われていましたが、これが本格的に行われるようになったのは1985年の日航機墜落事故がきっかけだったそうです。この事故当時私はまだ学生で、この検視作業に携わった先生の講義を受けました。とにかく現場は悲惨な状況で、遺体の損傷も激しく、身体的特徴や指紋からの確認が非常に困難で、このような時に硬組織である歯は最後まで残るので身元確認の役に立つと言われていたのが記憶に残っています。

この「家族の絆プロジェクト」は岡山県内にある歯科医師会会員の診療所で行っており、当院でも受け付けますので、この機会に是非お申し付けください。

詳しくは以下をご覧下さい。
http://www.oda8020.or.jp/kazoku/index.html

2015年1月号 オトガイの意味

皆さん、明けましておめでとうございます。平成27年も宜しくお願いします。

今回は最近読んだ本で見つけた、面白いエピソードをご紹介します。

以前、比較解剖学という学問についてほんの少しだけ触れましたが、これに関する本です。
その名もずばり、「頭骨コレクション」(福田史夫著 築地書館発行)。著者は野生動物の調査を行っている動物学者で、いろいろな動物の頭骨を観察して得られた知見をまとめてあります。当然ながら歯や顎骨についての記述が多く、大変興味深い内容でした。

人間の身体の中でオトガイというのは何処かご存知でしょうか。漢字では「頤」と書きます。これは唇の真下の下顎の先端、尖った部分です。このオトガイが出っ張っているのは人間だけで、他の動物では見られないのです。それには理由があって、サルからヒトへの進化の過程における食物摂取の仕方の大きな変化によるものだそうです。
野生の動物では、歯で獲物を捕らえたり、咬み切ったりして、口内で咀嚼分解し、胃腸内で消化吸収をしなければならないのに対し、ヒトでは手や道具を使って食物を小さく切り分けたり、チーズや酒のような発酵食物を作り出すことで咀嚼や分解、吸収の大部分を口外で行い、歯や口を使わなくて済むようになりました。そのために歯が小さくなって歯が生えている歯槽と呼ばれる部分が後退してオトガイが形成された。つまり、オトガイが出っ張ったのではなく、歯の生えている部分が引っ込んだという事だそうです。
これは何をを意味しているかというと、これらの変化は急速に起こっているので、歯と骨との結びつきが弱くなって、現代人は歯周病になりやすいことが骨の変化からも理解できると言うのです。
大人になってからでは遅いかもしれませんが、成長期には堅いものを何度もしっかり咬む習慣をつけて、顎骨が強くなるようにすべきですね。

昨年11月に診療台を1台新しくしました。従来のものと最も違う点は、照明がLEDになった事でしょうか。診療室の一番奥にあるので、機会があればその違いを見てください。